臼杵まなび旅

新たな発想で
戦争の遺構に光を当てる

サイトウユキオさんの紹介画像

斎藤 行雄

サイトウ ユキオ

臼杵市出身。高校卒業後、大分県職員に。退職後は郷土玩具・小物『俵屋』を経営しながら張子の人形師としても活動。
『臼杵のんき屋』副理事長、『臼杵城泊研究会』会長。

赤猫洞(屋敷余り特殊地下壕)

屋敷余り特殊地下壕。なんとも物々しい名前だが、これは第二次大戦中に造られた防空壕のこと。7つの部屋や150人収容のホールを備え、炊事場やトイレも完備。民間製では日本最大級の広さを持つ臼杵市の防空壕が、2021年5月から一般公開された。そこには一人の男性の熱い思いがあったのだ。

斎藤行雄さんは、臼杵市の活性化に取り組む『臼杵のんき屋』の副理事長。この防空壕の入り口が、斎藤さんの家の敷地にあるのだ。「子どもの頃は、いつも友だちと秘密基地ごっこをしてました」と懐かしそうに話す。保存状態も良好で当時の姿が今も残る防空壕は、戦争の悲惨さを伝える貴重な遺構。秘密基地から後世に残すべき財産へと、防空壕に寄せる思いも自身の成長とともに変化していった。

すでに多くの見学者が訪れているが、内部には電気も引いていない。独特の暗さの中で、戦争当時の追体験をしてほしいからだ。だが平和授業的な使い方だけでなく、多面的にこの場所を活用してほしいとも考えている。「ここで脱出ゲームなんかすると、絶対に面白いと思います。きっかけはなんでも良い、昔こういうものが造られたことを知ってほしいんです」と斎藤さん。隠れた名所から誰もが知る臼杵の名所へ。暗い時代に造られた洞窟に、ようやく光が射す時がきた。

TOP