臼杵まなび旅

酒造りで臼杵を元気に
十六代目が歩む地酒の道

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久家 里三

クゲ サトゾウ

『株式会社 久家本店』代表取締役
大学で建築を学び、卒業後は大手ゼネコンに入社。14年勤務した後、帰郷して家業を手伝う。2009年に『株式会社 久家本店』十六代目となる。それまで感覚的に行われてきた酒造りを数値化して整理・分析することで、より旨い酒造りを実践する。

株式会社 久家本店

『ふるさとのエンジン』
これが、この蔵が掲げるスローガンだ。地元の料理に合う酒を地元の原料と水で仕込む。それが地元全体を元気にする地域循環型社会を推進することになる。「難しく聞こえるかもしれませんが、昔はそれが当たり前だったはずなんです」。語り口こそ穏やかだが、久家里三社長の言葉には酒造りへの熱い思いが込められていた。

『久家本店』は創業160年を越える酒蔵。十六代目の久家さんはその歴史を大切にしながら、地域性が薄れた現代での地酒の在り方を常に考えている。「品評会で入選する酒を造るなら、山田錦(酒米の品種)を使うのが現代の定説。でも山田錦は、大分県の気候では栽培が難しい。他の土地で育った米ではなく、地元の米で良い酒造りを目指す方が正しいのではないか」。そんな葛藤を話してくれる横顔に、誠実な人間性が浮かび上がってくるようだ。

酒造りは厳密に行うが、それは造る側の話。飲む人には酵母や精米歩合などを気にせず、楽しく飲んでほしいと久家さんは話す。「理屈じゃなく、飲んで旨い!と思ったら、それがその人にとって良い酒です。楽しく飲みましょうよ」。地元料理と地酒が並んだ食卓に、みんなの笑顔が集う。そんな何気ない臼杵の宵を思い描きながら、久家さんは今日も蔵へと歩いてゆく。

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