雇用が生まれて笑顔が集まる
学校の快談
伊東 貴寛
イトウ タカヒロ
『磯端会議』センター長
津久見市出身。JAでみかんの指導員をしていたが、薬師寺正治社長に声をかけられて『磯端会議』に参加した。早朝からの仕事は午前中で終わるため、午後は魚釣りやみかんの栽培など好きなことをして過ごす。
- 修
- 視
- 個
磯端会議
- 住所:臼杵市大字深江1512番地
- 電話:0972-66-5878
廃校となった深江中学校の校舎。外観こそ変わりはないが、教室には無数の水槽が並び、その中ではアワビの稚貝が育っていた。「不思議な風景でしょ」と笑うのは『磯端会議』センター長の伊東貴寛さんだ。黒板や時計が今も残る教室でアワビを養殖している風景はたしかに不思議。だが、生徒がいなくなった校舎に活気が戻ったことに、不思議さよりも嬉しい驚きを感じた。
アワビ養殖を始めたのが2009年。「何かせんと地域が廃れるばかりやから、深江に人が集まる場を作ろうと思って」と伊東さん。今では安定的な養殖ができるようになったが、当初は失敗も数多く経験したという。しかもアワビは出荷までに3〜5年はかかる。アワビだけでは事業的にも厳しいため、鮮魚や加工品の移動販売も並行して始めた。女性2人と伊東さんが、3台の車で売って回る。週5日の移動販売は、外出が難しい高齢者にとって生活の糧であり交流の場でもあるようだ。
アワビの養殖・移動販売・ときにはイベントの開催。仕事の苦労はもちろんあるが、伊東さんは毎日が楽しいと微笑む。「自分たちが楽しく働いて深江に活気が生まれるなら、それが一番じゃないかなぁ」。良い意味での気楽さをハラリとまといながら、今日も伊東さんはアワビを育て、販売車を走らせてゆく。