臼杵まなび旅

受け継ぎ、守る
おもてなしの心と伝統の味

コダマチハルさんの紹介画像

兒玉 千晴

コダマ チハル

『御宿・料亭 春光園』三代目女将
学生時代はイギリスの大学・専門学校で5年間、語学や建築を学んだ。その英語力と建築の知識を生かして、臼杵の魅力を世界の人に伝えたいと話す。

御宿・料亭 春光園

本場のふぐ料理を味わって、そのまま泊まる。たぶんそれは、臼杵の町を最高に楽しむ方法のひとつだ。『春光園』は、そんな望みをかなえてくれる御宿料亭。この店の三代目女将が児玉千晴さんだ。

子育て中心の生活が長かったが、体調を崩した大女将(義母・多壽子さん)を手伝う形で2020年から店に復帰した千晴さん。以来、4人の子どもの子育てと女将の仕事を両立させる多忙な日々を過ごしている。「料亭は、接待文化が途絶えると収縮してしまう業種なんです。でもこの町にはふぐ料理があって、古い物や伝統を守る気風も残っている。独自の文化を持つ臼杵だからこそ『春光園』が今日まで続いてこられたのだと思います」。穏やかな顔で話すその言葉には、地元への愛情がふわりと織り込まれていた。

ここは宿でもあるため、客と接する機会も多い。観光名所や町の情報を伝えて地域と客を結ぶのも自分の役割だと話す。名物のふぐ料理はもちろんのこと、趣のある建物や庭園は、海外からの客にも人気が高い。季節や目的に合わせて、訪れる人のために花を生けて掛け軸を飾る。自身は生け花を習ったことがないため「義母の真似ですけど」と笑みがこぼれる。今日の花と掛け軸はどうでしょうかと、問いかけるように空を見上げる。この町は今日も良い天気だ。

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