エネルギーを通してこの町の自然を守りたい
小川 拓哉
オガワ タクヤ
『うすきエネルギー株式会社』取締役
福岡市出身。東京大学大学院を卒業後、コンサルタント会社に入社。環境エネルギー分野を専門に、省庁や自治体向けの調査研究を担当する。その後『ワタミエナジー』に入社して『うすきエネルギー』の立ち上げに参加。2019年に同社を退職し『うすきエネルギー』に入社した。
海と山に囲まれた臼杵の豊かさは、ここで暮らす人ならだれもが実感しているだろう。その臼杵市をエネルギーという観点から見つめているのが小川拓哉さんだ。学生時代から林業や山村地域の活性化などを研究してきた彼が臼杵で暮らし始めて、もう8年になるという。
「うすきエネルギー」は2016年に設立された地域電力会社。市内の太陽光発電や山の未利用材を使ったバイオマス発電、味噌工場でのメタンガス発電などで作られた電気を市内に届けるとことで、地域経済の活性化や林業振興にも取り組んでいるという。小川さんはその立ち上げに参加するため、東京の親会社(当時)から臼杵市にやってきた。
電力の地産地消化を目指して設立された「うすきエネルギー」だが、目に見えず、すでに普及している”電気”を新に販売するのは大変だったようだ。それでも粘り強く事業の意義を説明して情報発信を続けるうちに、共感の輪は少しずつ広がった。今では多くの企業や家庭に臼杵産のエネルギーを届けているという。「子どもたちも全員、臼杵で生まれました。暮らしやすいし、家族みんながこの町が大好きなんです」と、爽やかな笑顔を見せる。かつて「3年くらいの出向」と思い訪れたこの町は、今では小川さんとご家族にとって大切な故郷になっていた。