臼杵まなび旅

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山本 千代

ヤマモト チヨ

『日本料理 喜楽庵』四代目女将
老舗料亭の女将として働きながら臼杵の料理につての講演会活動なども積極的に行い、臼杵の食文化と料亭の良さを発信し続けている。

日本料理 喜楽庵

本膳料理は、藩主などが催す冠婚葬祭の場で出されていた特別な料理。『喜楽庵』は二代目当主が広瀬家(稲葉藩の料理番)で本膳料理を学び、伝承することを許された唯一の料亭だ。製法も調味も当時のままに、稲葉藩の食文化を今に伝えている。

「本膳料理が最後に食べられたのは、約60年前の結婚式。現在は冠婚葬祭の席で食べられることはなく、伝統料理を食べて体験していただくという形ですね」と話すのは女将の山本千代さんだ。人が集う風景も時代とともに変わる。だが受け継がれてきた料理とその作法は、守っていかなければならない。山本さんは大広間でジャズを聴く会などを開催し、その席で本膳料理を出した。「大広間は毎日使うわけじゃないし、ウチが主催なら料理も自由に決められるでしょ」と軽やかに笑うが、そこには肩肘はらずに本膳料理を知って欲しいという、女将としての思いがにじんでいるようだ。

もちろん『喜楽庵』ではふぐ料理や会席料理も味わえるが、山海の珍味をふんだんに使った本膳料理は、この料亭ならではの楽しみだ。新しい味を生み出すことは大変だが、歴史のある味を守り続けることはもっと大変なのかもしれない。だが、そんなことはおくびにも出さず、四代目女将は今日も、喜び楽しみながら客を迎えている。

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