今こそ見直したい
悉皆でよみがえる着物の魅力
藤原 紳一郎・克子
フジワラ シンイチロウ・カツコ
『京染めの ふじわら』三代目夫婦。
京都で5年間、悉皆の技術を学ぶ。克子さんとはその頃に出会い、結婚。女性客が多いため、穏やかな京都弁で接客する克子さんは店のムードメーカーだ。
- 修
- 視
- 個
京染めの ふじわら
- 住所:臼杵市本町5組
- 電話:0972-62-2622
悉皆(しっかい)とは、シミ抜きや染め直しなど、着物のメンテナンスを表す言葉。『京染めの ふじわら』は、この悉皆の店として1937年に創業した。今では呉服全般を扱っているが、悉皆の店としての信頼は三代目の藤原紳一郎さんへ脈々と受け継がれている。「古い着物でも染め替えて仕立て直すことで、新品のように生まれ変わるんです。お母さんの着物を娘さん用に作り直すなど、着物の寿命は本来長いんですよ」と藤原さん。大切な物を長く使う先人の知恵には、改めて驚かされた。
京都で悉皆を学び、克子さんと結婚して臼杵に戻ってきた。「妻は着物メーカーで働いていたので、帯揚げや帯締めなど和装全体をコーディネートしてくれます。やはりこの業種は女性の力が大きいですね」と話す言葉に、克子さんへの感謝の思いがにじむ。時代とともに、着物は持っておくものから必要な時にレンタルするものに変わってきた。「やはり着物を着てくださる人を増やさないと。そのためには成人式や結婚式など、人生の節目で着物に触れる機会を大切にしていただきたい。その時に、私たちが気軽に相談できる存在でありたいですね」と夫婦で微笑む。本来、長いはずの着物の寿命。それに気付くのは少しのきっかけと、こういう人との出会いなのかもしれない。